第34回 日本超音波検査学会

会長ご挨拶

第34回 日本超音波検査学会
学会長 水上 尚子


 この度、第34回超音波検査学会の学会長を拝命し、平成21年6月27日(土)~28日(日)の2日間、鹿児島市で開催させていただくことになりました。

 今回の学会のメインテーマは「郷中教育 ―求めること、求められること―」と致しました。「郷中教育」とは、薩摩(現在の鹿児島県)で藩校とは別に行われていた、年長者が年少者を指導する独自の青少年教育のことです(詳しくはこちらへ)。薩摩藩からは近代日本の設立に貢献した、多くの優れた人材を輩出していますが、その源はこの教育制度にあったと言われています。この教育理念は実践を重んじ、自主教育を推奨している点などが特徴としてあげられますが、私たち超音波検査士も机上の学問だけでなく、患者様個々の臨床や実践が重要である点など、多くの学ぶ点があると考え、鹿児島の地で開かれる本学会にこのテーマを選ばせて頂きました。

 また各プログラムは、サブテーマであります「医療人として求められる超音波検査士」を共通の視点としております。 パネルディスカッションは、私たちの業務において難しい問題である「検査報告書をどこまで記入するか」に踏み込み、各領域別にディスカッションして頂いたあと、2会場を中継し、領域を越えてこの問題について考えることができるように工夫いたしました。今後、検査士が臨床の現場でチーム医療の一員として活躍するための方向性を示すことができたらと期待しております。 また、最終日に行われます症例検討では、実践を重んじる郷中教育にちなみ、会場参加型のカンファレンスを準備しております。

 特別講演では、本学会に多大なる御協力を頂きました鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学の鄭 忠和教授に、超音波検査法の進歩について、超音波検査士の役割への御教示も含めた御講演をいただきます。文化講演では私が所属しております鹿児島大学検査部部長である、血管代謝内科学の丸山 征郎教授に著書「背広を着た縄文人―縄文から現代における環境変化と人類の病気-」からいま話題になっている生活習慣病やメタボリックシンドロームに関してお話いただく予定です。両講演とも超音波の専門領域の区別なく、会員にてとって大変興味深い講演であります。 その他、各領域臨床を含めた最先端の内容が学習できる場として教育講演、ランチョンセミナー、イブニングセミナーを企画しております。しかし、何といっても学会の中心は研究発表です。YIA、一般演題の皆様のたくさんの応募をお待ちしております。

 九州における超音波検査学会は、1996年の第21回学術集会以来13年ぶりの開催となります。皆様の記憶に残るような学会となりますよう、九州の学会員一同一丸となり準備を進めております。この奮闘振りは学会準備委員のコラムリレーにて、御紹介いたします。 鹿児島には多くの観光名所がありますが本学会の会場であるかごしま県民交流センターの一帯は城下町で、今でもその面影を偲ぶことができます。この機会に九州の南の玄関口鹿児島へ是非お越し下さい、多数の御参加を心よりお待ちしております。おじゃったもんせ 鹿児島へ(どうぞ鹿児島へおいでください)。