平成13年度学術賞報告

平成13年度の学術賞が決定しましたので報告いたします.会長賞は学術賞規定に基づき1編を選考し,理事会にて承認されました.学術奨励賞は第26回超音波検査学会で発表された一般演題より選考した候補5編のうち,4編が論文として超音波検査技術に投稿されましたので学術奨励賞が確定しました.

なお,授賞式は4月28日,東京で開催した第27回超音波検査学会にて執り行いました.

<会長賞>

経食道3次元カラードプラ心エコー図法を用いた僧帽弁・大動脈弁逆流ジェットの観察
 川井 順一  神戸市立中央市民病院臨床検査技術部
(超音波検査技術第26巻5号316~322ページ掲載)

[授賞理由]

心エコー図法におけるカラードプラ情報は2次元で表示されているため,その3次元的な広がりは検者の頭の中で構築されるのみである.そのため超音波に精通していない医師や実際に手術を行う外科医には,検査によって得られた弁の構造等の情報が十分に伝わらないなどの問題点があった.

本論文はこれまでグレースケール表示だったドプラ情報をカラー表示することで心臓構造物と区別することに成功している.さらにこの事により逆流の発生部位,方向,PISA法を用いた逆流量の推定など,従来の2次元法よりも正確に評価できる可能性を指摘している.

3次元表示は従来から検討されてきた表示方法であるが,超音波診断装置の改良とコンピュター技術の進歩に伴い情報処理速度が飛躍的に向上し3次元表示が日常検査に使用できるレベルになりつつある.本論文はそのタイミングや独創性において今後数年間は指標となりえる論文と考えられる.

よって,本論文は会長賞に相応しい論文として選考した.

<学術奨励賞>

  1. 経口腔超音波による内頚動脈描出の試み
     小川 剛史  東邦大学佐倉病院
  2. 超音波断層法での健常者を対象とした頚動脈硬化について
    -プラークの年齢別発症頻度から見た判定基準の検討-
     寺島  茂  相模原協同病院
  3. 当院における下肢深部静脈血栓の検討
     屋宣 政子  北里大学病院
  4. 前立腺の超音波検査と腫瘍マーカーについて
     山本 真一  東海大学大磯病院